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【第76回】ふたつの「日韓映画」


【第76回】ふたつの「日韓映画」

倉内均



 アマゾンラテルナが関わる二本の映画が公開される。
 CJ Entertainment Japanと東映の共同配給作品『マイウェイ12,000キロの真実』(1月14日公開)とアマゾンラテルナ制作作品『道−白磁の人−』(6月公開予定)である。
  『マイウェイ−』はカン・ジェギュ監督の韓国映画、『道−』は高橋伴明監督による日本映画であるが、くしくも、両作品とも日本の植民地時代の韓国で出会った日韓ふたりの青年の友情の物語となっている。
 前者はオダギリジョーとチャン・ドンゴン、後者では吉沢悠とペ・スビンが演じる主人公たちが、時代の波にもまれながらも互いに血と汗にまみれ、地を這いながら、支配者と被支配者の関係を乗り越えた先に辿り着こうと懸命に生きる、文字通り体当たりの演技で見せる大作である。

 戦後66年間、植民地時代を描く映画は日韓の歴史的な総括が必要とされること、また民族的な感情への配慮ゆえに、少なくても日本の商業映画では製作されることはなかった。
 この二つの映画が、一方的な立場に立つプロパガンダとしてではなく、日韓をはじめとする世界のマーケットでの商業作品として製作され公開されることは、日本人と韓国人それぞれの成熟と考えるべきなのか、一握りの熱い思いの製作者の発露と見るのか、時代のニーズととらえるのか、いずれにしても、歴史の節目に刻まれる″歴史的映画″になるにちがいないと確信する。
 両作品に共通している最大のテーマは、民族を超えた「志」の継承である。過去の忌まわしい歴史と記憶を学び直し、これまで双方にあった対立と断絶の軸から、愛憎を受容しながらも、とにかく相対し、ぶつけ合いをして、互いを理解しようとする交流の軸への転換を通して、ともに新しい歴史を作っていこうとする意志でもある。

 『マイウェイ12,000キロの真実』の息継ぐ間もなく見せるカン・ジェギュの豪腕ぶりと、『道−白磁の人−』の高橋伴明の人間の情熱を静かに語る演出は対照的だが、映画のなかでは人間が生き生きと生きている。
 ふたつの映画をあわせてご覧いただければと思う。

(2012年1月)